京都の観光地といえば「銀閣寺」は世界中から観光客が集まる人気スポットです。歴史の授業でも必ず学ぶ親しみのある寺院ですが、実はもっともっと魅力があります。ここでは銀閣寺の成り立ちから、歴史や文化、そして観光の際におすすめなアクセス方法などをガイドします。金閣寺と銀閣寺の比較など、おもしろいトピックも扱っているので、ぜひ読んでみてください。それでは、まずは銀閣寺の簡単な基礎情報からおさらいしましょう。
銀閣寺の基礎情報(住所やアクセス)をチェック
銀閣寺は京都府京都市左京区銀閣寺町に所在している寺院です。正式名称は「東山慈照寺」です。臨済宗の相国寺、塔頭寺院と呼ばれるものに属しています。銀閣寺と呼ばれるきっかけになったのは、金閣寺が由来です。もともとあった金閣寺に対の意味で銀閣寺と呼ばれるようになりました。さらに飛雲閣(西本願寺境内)と金閣寺、そして銀閣寺のことを京の三閣と呼びます。銀閣寺は1994年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。清水寺や延暦寺などと一緒に「古都京都の文化財」として登録されています。
それではアクセス方法を見ていきましょう。バスを利用するときは京都市の市バスがあります。金閣寺や相国寺など有名観光スポットからもバスが出ているので利用しやすいでしょう。敷地内には観光駐車場も用意されています。営業時間は午前8時40分から午後5時10分までです。ただ、シーズンや大型連休期間は混雑が予想されるので、バスを利用するのがベターでしょう。
銀閣寺の歴史を知ろう!
銀閣寺は1482年に第8代室町将軍の足利義政により造営されました。もともとは応仁の乱の際に焼失した浄土寺跡に、東山殿と呼ばれる山荘を造営したのが始まりです。銀閣寺は金閣寺に比べて質素だとか地味だとか言われることがありますが、これは応仁の乱により京都の経済が一時的に落ち込んでいたことを反映しているとも言われています。銀閣寺は完成してすぐに、足利義政の住居となりました。そして、長い年月をかけて増築していき、禅室の西指庵や泉殿、東求堂などが作られていきます。
足利義政は後に「銀閣」と呼ばれる観音堂が完成する前に死去し、山荘は菩提寺となりました。そのときに相国寺の松寺として慈照寺が創設されます。1615年には銀閣寺の大改修が行われました。ちなみに、銀閣寺の周辺には「哲学の道」と呼ばれる観光スポットがあります。西田幾多郎や田辺元などが散策し、日本の道100選に選ばれており、当時の文化人たちは銀閣寺を望みながら思索に耽ったようです。
銀閣寺が代表する東山文化とは
銀閣寺は室町時代の東山文化の代表例としてよく挙げられます。この文化を説明するには、対になる北山文化の説明から始めたほうがいいでしょう。北山文化のときの権力者は3代将軍の足利義満です。義満は室町時代の最盛期を過ごした権力者で、自身を国王と称するなど繁栄の時代を生きました。そんな義満はきらびやかな文化を好み、その代表例が鹿苑寺金閣寺です。金箔に彩られた金閣寺はまさに豪華絢爛といったところです。
第8代将軍の足利義政は義満にならって銀閣寺を建てましたが、時代は北山文化から東山文化に変わっていました。東山文化は禅の影響を受けており、簡素さは当時の経済状況も反映していますが、幽玄や枯淡という独自の美しさも表現しています。また、北山文化が中国の唐に影響された唐物であるのに対し、東山文化は和物にフィーチャーされています。代表的な例は東求堂の一室である同仁斎です。書院造と呼ばれることになる建築様式は和風住宅の原型と言われています。
侘び寂びのルーツは銀閣寺にある
日本文化の究極と呼ばれるものといえば、「侘び寂び」の精神です。侘び寂びは戦国時代の千利休や俳句で有名な江戸時代の松尾芭蕉のイメージが強いでしょう。しかし、侘び寂びのルーツは銀閣寺にあるとも言われています。銀閣寺の登場した室町時代中期は茶道や華道、能楽などが発展した時期です。平安時代の国風文化のように、これまで中国が文化の主体だったのに対し、日本独自のものがリバイバルや新開発された時期とも言えます。
書斎を兼ねた書院造の登場は、日本初の茶室を設置することになります。しかも、この同仁斎と呼ばれる茶室は4畳半のスペースしかありません。なぜ、このような茶室は成立したのでしょうか。同仁斎は極限まで無駄なものを削ぎ落とした建築で、同仁斎には「すべての人間を平等に扱う」という意味が込められています。義政は当時差別を受けていた芸人や技能者と交友を持っていたとされる人物ですが、同仁斎には義政の願いも込められているようです。銀閣寺は千利休を始めとする文化人に影響を与え、今では侘び寂びを代表する建築物の一つに数えられています。
まとめ
銀閣寺の基礎情報に始まって、歴史や文化的な意義を解説しました。銀閣寺は金閣寺と比べると地味と言われますが、その建築物の様式や思想には奥深いものがあることが分かったでしょう。まさに日本文化の粋を表現しているスポットなので、観光の際には建物だけでなく自然との溶け込み方や何気ない小物に至るまで、ひとつひとつ丁寧に見ていくといいでしょう。日本的な美を感じられるはずです。京都におこしの際にはぜひ訪れてみてください。